私立高校を検討しはじめると、多くのご家庭が最初にぶつかるのが「結局、いくらかかるのか」という問いです。学校のパンフレットには授業料や入学金が別々に書かれていて、全部を足すといくらになるのか、すぐには見えてきません。
この記事では、ガクリサが掲載している東京の私立高校のうち、初年度納入金を公表している学校のデータを集計し、平均・中央値・金額の分布を整理しました。あくまで公開情報ベースの目安ですが、学校選びの「金額の地図」として使っていただければと思います。
ガクリサ調べ(公開情報ベース・2026年7月時点)では、東京の私立高校で初年度納入金を公表している84校の平均は 980,985円、中央値は 968,000円 でした。
平均と中央値がどちらも100万円をわずかに下回り、近い値になっています。これは、極端に高い一部の学校に平均が引っ張られてはいるものの、多くの学校が90万〜100万円台にまとまっていることを示しています。「私立高校の初年度は、ざっくり100万円前後」というのが、ひとつの目安になりそうです。
ただし、ここでいう金額は各校の公表値をもとにした目安であり、コースや年度によって変わります。特待生制度や奨学金を使えば実際の負担はさらに下がりますし、逆に修学旅行の積立や制服代などが別途かかる場合もあります。あくまで「入口の比較材料」として捉えてください。
学費を比べるとき、つい目に入りやすいのが「授業料」の金額です。しかし授業料だけを並べて比べると、入学時の負担を読み違えてしまうことがあります。
初年度にかかるお金は、授業料だけではありません。一般的には、次のような項目が積み重なります。
このうち入学金や施設費は、授業料の金額表には出てこないことがあります。授業料が近い2校でも、入学金や施設費まで含めると初年度の負担が十数万円変わる、というのは珍しくありません。
だからこそ、比較のものさしは「初年度総額(初年度納入金)」で揃えるのが安全です。ガクリサの集計も、この初年度納入金(授業料・入学金・施設関連費などを合算した公表値)を基準にしています。入学の年は、2年目以降にはない入学金がのる分、家計への負担が最も大きくなりやすい年でもあります。まずこの年を基準に見ておくと、見通しが立てやすくなります。
84校を金額帯で分けると、次のようになりました(ガクリサ調べ・公開情報ベース・2026年7月時点)。
| 初年度納入金の帯 | 校数 |
|---|---|
| 〜80万円未満 | 0校 |
| 80万〜100万円未満 | 56校 |
| 100万〜120万円未満 | 24校 |
| 120万円以上 | 4校 |
もっとも多いのは80万〜100万円未満の帯で、集計した84校の3分の2にあたる56校がここに入ります。100万〜120万円未満が24校で続き、120万円以上は4校でした。80万円を下回る学校は、今回集計した範囲では見当たりませんでした。
この分布から読み取れるのは、「私立高校の初年度は、多くが80万〜120万円のあいだに収まる」ということです。突出して高い学校は一部にとどまり、大半はこのレンジのなかで、学校の方針や設備に応じて差がついている、と考えるとイメージしやすいと思います。
金額のイメージをつかむために、集計のなかで比較的抑えめだった学校と、高めだった学校を、それぞれ実例として挙げます。金額はいずれも公表値ベースの目安で、コース・年度により変わります。
これらは今回の集計で初年度納入金が低めだった学校です。80万円台前半から半ばで、平均の約98万円と比べると15万円前後低い水準にあります。
こちらは120万円を超える学校です。ここで大切なのは、金額が高い=良くない、という話ではないということです。納入金には、少人数教育や充実した施設、独自の教育プログラム、宗教的・国際的な教育環境など、その学校が力を入れている内容が反映されていることが多くあります。
金額を見るときは、「その金額で何が得られるのか」をセットで考えるのが本来のかたちです。抑えめの学校が物足りないわけでも、高めの学校が過剰なわけでもありません。ご家庭の予算と、お子さんに合う教育環境の両方から、納得できるバランスを探すのがおすすめです。
私立の水準を、都立・国立の基準額と並べてみます(いずれも参考値)。
都立は入学金が数千円台、国立も入学金は5万円台で、私立の入学金・施設費まで含めた初年度総額とは、負担のかかり方が大きく異なります。授業料そのものは私立でも都立・国立でも桁が極端に違うわけではありませんが、私立は入学金・施設費・各種納付金が積み上がる分、初年度の総額が大きくなりやすい、という構図です。
なお、都立高校の授業料については、就学支援金の対象となる世帯では授業料が実質無償となる仕組みがあります(所得要件あり)。この点は次の項目で触れます。
公立・私立を問わず、高校の授業料負担をやわらげる制度として「高等学校等就学支援金」があります。一定の要件を満たす世帯に対し、授業料に相当する額が国から支給される仕組みで、これにより授業料の負担が軽くなったり、実質的に無償になったりする場合があります。
ここで必ず押さえておきたいのが、この制度には 所得要件がある という点です。世帯の所得状況によって支給の有無や金額が変わり、私立高校では自治体独自の助成が上乗せされる場合もあります。制度の内容や金額、要件は年度によって見直されることがあるため、最新の要件は必ず公式の案内をご確認ください。
この記事で紹介している初年度納入金は、こうした支援金を差し引く前の金額です。実際のご家庭の負担額は、就学支援金や各校の奨学金・特待制度によって、ここから下がる可能性がある、という前提で読んでいただければと思います。
ガクリサの各学校の詳細ページには、初年度納入金をまとめた「学費カード」を掲載しています。気になる学校が見つかったら、詳細ページを開いて、この記事の金額と照らし合わせてみてください。
使い方の流れはシンプルです。
金額だけで学校を絞り込むのではなく、「校風が合いそうか」「通える範囲か」「説明会でどんな雰囲気だったか」といった要素と並べて見ると、数字の意味がより立体的になります。学費は大切な判断材料のひとつですが、あくまで判断材料の「ひとつ」です。ガクリサでは、その一つひとつを同じ画面で見比べられるようにしています。