
学校選びで制服はよく「デザインが好きか」で語られます。でも、もうひとつの選択肢があります。そもそも制服のない学校です。ガクリサが収集した東京625校のデータから、「私服OK」の学校がどこにどれだけあるのか、そこにどんな校風が共通しているのかを見ていきます。
ガクリサ調べ(公開情報ベース・2026年7月時点)で、私服通学が認められている学校は625校中57校。内訳は高校43校・中学14校です。およそ11校に1校という計算で、少数派ではありますが、探せばしっかり選択肢になる数です。
そして、この57校の顔ぶれに特徴があります。偏差値65以上の高校だけを拾うと、開成、麻布、武蔵、筑波大学附属駒場、都立国立、都立西、都立戸山、都立立川、桐朋、早稲田大学高等学院……と、東京のトップ進学校がずらりと並びます。
中学でも同じ傾向です。私服OKの14校には麻布、武蔵、女子学院、筑駒といった御三家クラスに加え、明星学園や和光、自由学園など大正自由教育の流れをくむ学校が入ります。
ガクリサでは各校の校風を6つの軸で数値化しています。そのひとつ「自由↔規律」の軸(0が自由の極・100が規律の極)で私服校と制服校を比べると、はっきりした差が出ました。
「私服の学校は自由な校風」というイメージは、データでもきれいに裏づけられます。服装を生徒に委ねる学校は、髪型や持ち物、学校生活の過ごし方も生徒の裁量に任せる傾向が強い。制服の有無は単なる服の問題ではなく、学校が生徒をどれだけ信頼して任せるかの縮図なのです。
トップ進学校に私服校が多いのも、同じ文脈で説明できます。これらの学校に共通するのは「自主自律」の文化です。服装を自分で決めることは、学び方や時間の使い方を自分で決めることの入り口として位置づけられています。
ただし、私服校を「楽そう」で選ぶと少し違います。在校生がよく口にするのは、毎日の服選びが地味に大変という現実です。実際には動きやすい定番の組み合わせに落ち着く生徒が多く、「なんちゃって制服」と呼ばれる市販の制服風コーデで通う生徒も少なくありません。
また「私服OK」にも濃淡があります。完全に自由な学校、標準服はあるが着用は任意という学校(都立工芸などがこのタイプです)、式典のみ標準服という学校。同じ「制服なし」でも運用はさまざまなので、説明会や文化祭で在校生の実際の服装を見ておくのがいちばん確実です。
なお、私服校の対極にある「制服の着こなしまできちんと指導する学校」が悪いわけでもありません。規律ある環境のほうが伸びるタイプの生徒は確実にいます。大事なのは、校風6軸でいう自由↔規律のどのあたりが、その子にとって心地よいかです。
ガクリサでは、各校の学校ページに「私服OK」のタグを表示しているほか、地図のこだわり条件で私服OKの学校だけに絞り込むこともできます。「制服がイヤ」も「あの制服が着たい」も、どちらも立派な学校選びの入り口です。データで裏を取りながら、わが子に合う空気の学校を探してみてください。
※私服可否はガクリサ調べ(各校公式サイト・東京都教育委員会の公開情報ベース・2026年7月時点)。運用は変わることがあるため、最新の状況は各校の公式情報でご確認ください。